今から約20年前、初めての海外旅行で初めてバリの地へ降り立ち、
初めて迎えたバリの朝の事を今でも強烈に覚えています。
陳腐な使い古された表現ですが、楽園 と呼ぶにふさわしい
素晴らしい目覚めでした。
ベッドには、バリからの祝福であるかのような朝陽の恵み、
だんだんにぎやかになる鳥たちの声で自然と目覚め、
部屋を一歩出ると緑いっぱいのまぶしい庭に咲き乱れる花々
行き交うスタッフたちは全ての人が、みんな笑顔で朝のあいさつをしてくれます。
何て気持ちのよいことでしょう。
何て素敵な時間がここには流れているのでしょう。
自然の豊かさももちろんなのですが、
私はまず、このバリの人たちの底抜けの明るさに魅かれてしまいました
当時、全くインドネシア語も知らなかったのですがバリ旅行を決めてから、
少しでも現地の言葉を話したいと思い、
「ありがとう」や「おはようございます」という、そんな簡単な言葉だけですが
一生懸命覚えて行きました。
そしてそんなたった一言のありがとう、「トゥリマ カスィ Terima kasih」を
ホテルでも、町なかでも、バリの人々はどれだけ喜んでくれたことか……
いま思い出しても目頭が熱くなります……(ちょっと大げさ)。
初めての海外旅行でもあったため、このバリ行きはツアーで申し込みました。
現在でもたまに見かけますが、当時はバリ行きのツアーにも観光というのが
しっかりついているのが主流でした。
今はツアーといっても飛行機とホテルだけのパックが多いですね。
当時のツアーについている観光というのは、名所巡りというよりもお買いもの巡り。
悪名高き「押し売りツアー」です
要するに「次はバリ名産のバティック工房に行きます」「次は銀細工の村です」
「次は……」「次は……」とバスで工房巡り。
工房へ着いて興味深げに見ようものなら、もう離してくれません
そんな中、バリの州都デンパサールの「市場見学」というのも
一日観光の中に入っており、ガイドさんと共に市場を歩きました。
デンパサールという街自体はやはり州都でもあるので官公庁があり、
ビジネスの街でもあるのですが、その中に数ヵ所の市場があります。
それらの市場は私が思うビジネスという言葉とは一線を画す、
庶民のパワーに溢れ、圧倒されるほどに人々の活力を感じるところでもあります。
そんな市場に圧倒されながらガイドさんに連れられて歩いている時、
市場の中に映画館があることを聞きました。
夜にはまた屋台などが出て人が繰り出し、別の顔を見せるとのこと。
一緒に旅行をしていた友人と私は好奇心でいっぱい
ガイドさんなら安心だろうと思い(日本の旅行会社のインドネシア人スタッフでした)、
その日の夜もう一度市場に連れてきてもらえるようお願いしました。
そしてその晩、再び市場にやってきた私と友人は二人で相談した通り
ガイドさんに「映画を観たいので一緒に映画館に入ってほしい」といいました。
「ええっ? 映画はインドネシアの映画ですよ?」
「はい、だから観たいんです」
「インドネシア語わかりますか?」
「えっと……わかりません……」
「わからないのに観てもおもしろくありませんよ」
「わからなくてもいいんです、雰囲気を知りたいんです」
そんなこんなで結局ガイドさんを説き伏せて、映画館に入りました。
日本のきれいな、設備の整った映画館とは全く違い、床はコンクリート、
座席は壇状にはなっていましたが椅子は、木の長椅子だったように思います。
そして始まりを告げるアナウンスと共に灯りが落とされると……
なになにっ? どうしたのっ? 何が始まるのっ? と身構えるほどの
ヤンヤ、ヤンヤの大歓声。
「ヒューー」「ピーピー」……そこらじゅうで指笛まで鳴っています。
それほどみんなが期待する映画なのかと、
言葉がわからないなりにも一生懸命観ていたのですが、
どうもストーリーはちょっとコミカルなよくある恋愛もの。
大の男達が歓声をあげるような映画ではないと思うのですが……なんだか不思議。
でもこの映画を観る姿勢に私は心を打たれたのです。
日本で映画を観ていると、だいたいどこの映画館でもどんな映画でも
あまり変わりはないと思うのですが、マナーというものがまずあるので
いくら隣に友達がいたとしても大きな声で「今のシーンおかしいと思わない?」とか
「ああだよね」「こうだよね」って……言えませんよね。言いませんよね。
ちょっとした笑いのシーンも、マナーが先行するのと同時に、
一人だけ笑うのって恥ずかしいですし、ムムッとこらえたりしてしまいませんか。
それが、かの地バリでは驚くほどみなさん素直なのです。
私は、人間こうあるべきだとさえ思い心打たれたというわけですが、
最初の歓声に始まり、映画の途中でも「何してんだ、まったく!」とか
「おいっ、逃げろ!」とこっちでいえば「そうだ、そうだ!」とあっちで聞こえる
というような雰囲気の中映画は流れ、みんな思ったことを口々に言います。
しかも一人や二人そんな人がいたというわけでなく、多くの人がそんな感じです
(これはこの後も何度かバリで映画を観ていますが、いつもこんな感じでした)。
笑いのシーンは、もちろんみんなが一斉にドッと笑う場面もありましたが
マイノリティーであってもお構いなしに「ケラケラ!」「ふはは!」「ハッハッハ!」と、
ところどころで聞こえてきました。
私の前方に座っていた人は、これまた一人で
「ヒーーーッ! たまらん~!」とのけぞって笑い、後ろの座席の人に
押し返されていました。
感動はラスト。
えーーっと……映画のラストシーンが感動なのではなく、
映画のラストの時の、観客のみなさんが感動的でした。
拍手喝さい、またまた指笛の後、
「いやーー、良かったぁ~(しみじみ)」
「うん、うん、良かった良かった!」
みなさんお友達? って思うほど、そこら中で喜びを分かち合い、
感想を伝えあい、握手が交わされ……。
ホントに知らない人同士ですよ 本当に握手しあってるんですよ
日本の映画館で……考えられますぅ~
そんな純真無垢、素直、純粋、ピュアなバリの人たちを知り
私は恋に落ちていくのですが(バリにです)、恋は盲目とはよくいったもので、
この先バリの色々なところを知っていくことになるのですが
私とバリの出会いはこういった感じで幕を開けました。
それでは今日はここまで。
ではみなさま、また次回お目にかかれますときまで……
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