前回の続きです。
サヌールにそれはそれはお味もおいしく、雰囲気も良く、
スタッフの教育も行き届いていて、お値段も安い、
ヴィレッジというイタリアンレストランがありました。
もう5年、6年と、バリに行けば、どこに泊っていてもタクシーを飛ばして行くほどに
好きなお店でした。
しかし、今回! 私のヴィレッジ史上に残るほどの衝撃的事件が起こってしまったのです!
(はい、すみません、ちょっと大げさです)
その日は事前に予約をしていました通り、開店直後の5時過ぎぐらいにお店に到着しました。
席に座り、メニューを広げて見てますと、「その日の魚の塩焼き」風な、
名前は覚えてないのですが、とにかくシンプルなメニューが一つあったんですね、
オリーブオイルとお塩でグリル、とかなんかそんな感じだったと思います、
で、ではこれにしてみようと頼んだのですが、
「申し訳ないです、これは6時からのメニューになるんです」とのことでした。
なんでも、シェフが来る6時からしかできないお料理だということでした。
「なるほど~、シンプルゆえにシェフしかできないお料理なのか、はたまた、
厳選素材使用のためシェフしかその魚を選べないのか……
とにかく特別なお料理なのだな~、仕方ない、それではあきらめましょう、
その分、また今度来る楽しみが増えるというものだ……」とばかりに
ノーテンキ細胞な私は別の魚料理を注文しました。
そして他のオーダーも終え、運ばれてきたワインを頂いておりましたら
前回お話ししましたが、長年こちらで勤めてらっしゃり、いつも温かく出迎えてくれ
再会を喜んでくれますアグン(仮名)さんがやってきて、少しおしゃべりをしておりました。
「なんか、ワインの種類とかメニューも変わったみたいですね~。
値段も少し……高くなりました?」
「そうなんですよ……いえね、総シェフが最近変わりまして……
いろいろ……方針が……」
アグンがそういった時、私は彼の目の奥のかげりを見逃さなかった……。
……なんて、ミステリー調に書いちゃいましたぁ~\/
が、ホントホント、しかもなんかこう、「んん~~、あの~~」という
歯切れの悪~い感じだったのですよぉ。
そんなことを話しておりましたらですね、
さきほどオーダーをとりにきて「このメニューはシェフが来る6時からしか……」
という説明をしたウェイター君がやってきまして……と思ったらその後ろに
マフィアかプロレスラーか、という怖ーーーーーい顔した男の人を連れてきておりまして
ウェイター君が説明を始めました。
ちなみにまだ5時半にもなっていないぐらいの時間です。
「いえね、あのですね、あの、その(なんだかとても焦っているような様子)
あの、シェフがさっき来ましたので、さっきの、あの、
さきほどのお料理ができる……ことになったのですが、どう、どうされますか?
いかがいたしましょう? あの、もしよろしけれあとでご注文頂いた、あ、あ、あの、
レモンのシシリー風のあれはキャンセルということにしまして、
あの、初めのあの、初めのお料理ですね、あの、6時からしかできないと言いましたが
シェフが、こちらのシェフが、あの、来ましたので、出来る、出来……出来ますかと……」
なんとか説明を終えた彼は焦ってたようにも見えてましたが、ちょっと得意気
私はただただ彼の話を聞いていたのですが、
「せっかくここまできて言ってくれたんだから、それじゃあ、まぁ、お願いしてもいいのかしら?」
と、気になる最初のお料理を注文し直す、ということにしました。
そこで初めて首を回して、少し後方を見ますと
ずっと微動だにせず立っておりましたスキンヘッドの熊男マフィアの眉間には
クッキリとしわが……コワ~イ……
しかもこのシェフ、歩いてきた時から私たちに一切のあいさつもなく、一切の笑顔も見せず、
たった一言の言葉も発せず、ただただ当のウェイター君をにらみつけるばかり。
みなさまも状況はおわかりでしょうか、
ウェイター君はシェフに「シェフ、ちょっと来ていただけませんか?」と多分、その程度の説明で
私たちのもとに連れてき、いきなり了解も得ていない話をし出すものだから
シェフは怒り心頭……とまぁ、そんな感じでございましょう。
その時、テーブルの周りにはウェイター君、シェフ、シェフのお付きのような人、
アグン(仮名)さん、さらに遠巻きに状況を見守るウェイター……
ただならぬ雰囲気の中ではありますが、一応、話はまとまり、シェフたちは厨房へ、
私たちのもとには前菜が運ばれ始め、ディナーはスタートいたしました。
しかし、シェフも今頃厨房の中で「なんだお前は勝手なことを言いやがって!
さきに俺にちゃんと説明するべきだろう!」なーーんて、きっとカリカリ怒ってるだろうなぁ
あとでウェイター君、包帯巻いて出てきたりして……それじゃコントだよ
などと一人思っておりました。
それにしても、シェフが怒るのもわかるけど、
お客さんの前に出てきてしまったんだから、そこはこらえないとね~
……でもそんなこと考えていたらつまらない食事になっちゃいますので、
さっきのことは出来るだけ忘れて、
そのシンプルなシェフしかできないという料理を楽しみに待つこととしよう……
と思っていた時、私のお料理はやってきました。
ガーーーーン
レモンのなんとかのソースのシチリア風……
なんでなんで なんでなんで なんでなんで
しかも何の説明も、一言のことわりなく……。
おいしかったヴィレッジが……
雰囲気の良かったヴィレッジが……
テキパキ、キビキビ、仕事ができるスタッフの多かったヴィレッジが……
音を立てて崩れてゆく~うぅ~うぅ~~
しばらくは行かなくなるかな~
バリにまた降り立ってみないとわからないですが、
何か少~しずつ変わりつつあるヴィレッジ……私にとっては、靴の中の小さな小さな
石ころのような存在です
え? どういう意味、ってですか? 私にもよくわかりません
シェフが代わると少なからず変わってきますよね~、
聞いてる限りではこちらの新しいシェフもいろんな権限を持ってるようですから……
ぜひとも、もっと真摯に……これがヴィレッジを愛したものの願いです。
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