バリのホテルでの、ちょっと一人でニヤッと笑ってしまう出来事。
その日、私はどうしても日本に手で持って帰らなくてはいけない荷物がありまして
それを手にしてホテルへと帰ってきました。
後日の船便、航空便ではなく、できるだけ早く日本に持ち帰る必要があったため
帰国の際に持って帰ろうとしたわけです。
それは商品のサンプルだったのですが、しっかりとした梱包はされていなかったため
破損しないよう、傷がつかぬよう、また、持ち運べるようにしっかり梱包しなくてはなりません。
帰国までまだ日にちはあったのですが
明日にはこのホテルを離れてチャンディダサへ行かねばなりません。
と言いましても、帰国する数日前にはまたこちらのホテルに戻ってきますので
この商品のサンプルはホテルに預けて行くつもりでした。
そんなわけでホテルマンの若いスタッフの男のコに
5日後にまた戻ってくるから預かっていてほしいという旨を説明し、
ついでに「あの、これとっても大事なものだから梱包したいんだけど、
何もないのよね~、梱包して下さらないかしら~?」とお願いしますと
元気な笑顔で「はい、承知いたしました!」と快諾♪ ありがたや~
それから数時間後、そのホテルマンくんがおりまして、前を通りましたので
「どう? 梱包うまくできた?」と聞きますと「うーーーん、ダメです」というお返事。
一時預かりの荷物置き場、券倉庫がありまして、そこにちゃんと保管されていたようなのですが
そこから私が預けた荷物を持ってきてくれました。
そこには……
写真でもあれば笑っちゃうと思うのですが
ジュース用の小さなダンボール箱を開いてその荷物を包もうとはしてくれているのですが
いかんせん箱が小さすぎるため荷物の1/4ぐらししか包めていません
っていうか、全く包めてないし……ダンボールが貼りついてるだけ
怒る気なんて全くありませんが何だかおかしくて
「これじゃぁ持って帰れないわぁ、大事なものなのよ~ でもまだ日にちはあるからよろしくお願いね」
と、もうちょっと頑張ってもらおうと思い、翌日、チャンディダサへと向かいました。
そして5日後このホテルに戻ってまいりますと
その日の夜でしたか、そのホテルマンくんと顔を合わせますと
「あっ、お客様、できましたよ! ちゃんとあなたの大切なお荷物、しっかり梱包しまして
大事に保管しております、どうぞ見て下さい、こちらです!」と
荷物倉庫の扉の鍵を開け、嬉々として私を中へ招き入れました。
すると倉庫の奥まったところに、荷物が見えないぐらい(これが当たり前)しっかり梱包された姿で
棚の上に置かれていました。
おぉ~、グッジョブ です。
これ ↑ は日本に帰ってきてから撮ったものですが
「よしよし、よかったね~、しっかり梱包してもらったんだね~」と
我が子に再会するかのごとく喜びました。
「ありがとうね~、紐も持ちやすそうにしてくれたのね~、うんうん、ありがと、ありがと」
ホテルマンくんも私が喜んでいるからか、すこしハニカミながらも誇らしげです。
ありがとうね ありがとうね じゃあ、あとは出発の日までよろしくね、
大事なものだからしっかり預かっててね
……とその倉庫を後にしたのですが部屋について気が付いた
「あ、チップ渡すの忘れてた~」
彼は、たまにいるような「ほら、ボク頑張ったでしょ、ね、だから、ホラ、何か……忘れてませんか?」
とチップを暗に要求するような、そんな素振りが全くなかったため
余計に申し訳なく思い、明日必ずチップを渡そうと思いました。
そして翌日、彼がいたのですが、ロビーに人もスタッフもたくさんいたため
「あの荷物はちゃんと保管してくれてる? もう一度、見て確かめてもいい?」と倉庫の扉を開けてもらい、
「うんうん、大丈夫ね。そうそう、これ、昨日渡すの忘れてたから……チップ。ありがとうね」
というと、「あ、そんなぁ……いえ、ありがとうございます」と、とっても喜んでいました。
そしてその晩、ホテルから夕食を食べに出ようとすると彼の姿が見えたので
「こんばんわ~、食事に行ってくるわね~」と声をかけますと
「あの♪ また、大事なお荷物、確認されますか♪」と満面の笑みで言ってくれるのですが
いや、大丈夫でしょ、もう安心してますよ、と思いながら「ううん、もうさっき確認したからいいわ、ありがとう」
と言いますと「あ……そうですかぁ……では、いってらっしゃいませ……」
ちょっと意気消沈。
うんうん、ホテルマンだもんね、とってもフレッシュマンだけど、
だからこそホテルマンとしての自覚がサービス精神に火をつけるのね、きっと……
なーんて一人考えていた私。
そして翌朝。
「おはようございます! お荷物確認されますか♪ どうぞ、倉庫へ♪」
んんん~~~、わかったぞ……あなた、私が確認するごとにチップをもらえると思ってるでしょ
しかーーし、それは甘いのだよ、フレッシュホテルマンくん
でも……そうやって、バリのホテルマンは育っていくのかしら……と
思い出しては一人ニヤリと笑ってしまう出来事なのでした
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