前回、前々回とインドネシア語の「ありがとう」、「Terima kasih」について書いたのですが、
基本的に私も発音うんぬんより、話そうとすること自体が楽しみを増やしたり、
インドネシア人と距離が近くなったり、意思を伝え合うことができると思いますので
細かい発音にこだわるより、とりあえず喋ってみることの方が大事だと思っています。
私事で恐縮ですが、うちの母親はどこでどうなったのか、
なぜか、「テレマカシ~(←なんで「レ」?)」とノーテンキに笑っていますが
本人はとっても楽しそうですし、そして、それで充分だとも思います
かくいう私も全然まだまだです。
笑っちゃうぐらい……というか、笑われちゃうぐらいまだまだです
私は学業としてインドネシア語を学んだことはありませんが、
大阪にあります「アジアセンター(アジア図書館)」というところで、
インドネシア人の先生の講座を受けていました。あ、とっても昔々の話です。
週に1回、半年のコースを(少し飛び飛びになったこともありますが)5、6回受けたでしょうか。
でもその後、ずーーーーっとインドネシア語を習うことからは遠ざかってしまい……。
ですから、もうドンドンドンドン、加速度的に忘れていくのですが、それが悲しくて悲しくて……
でもずっと仕事も忙しく、まさかまた通えるなんて考えもしなかったのですが
2年ほど前、たまたま通勤途中で開かれている教室を知り、たまたま時間の都合が合い、
また半年ほどですが久しぶりに通いました。
そこでの先生が佐久間新先生という方だったのですが、私にとっては初めての日本人の先生でした。
日本人といいましても、発音がとても美しく、ほとんどネイティブの発音にしか聞こえない
きれいなインドネシア語を話される先生で、よどみなく流れる流暢さはもちろんのこと、
微妙な、本当に微妙な発音・発声がやはり違う、憧れるほどきれいに話される先生でした。
バイリンガルの方なら当然ともいえるでしょうが、
後年、身に付けた語学でこんなに美しく話される方は私はあまり知りません。
実は先生は、様々な活動をされているジャワ舞踊の舞踊家でいらっしゃるのですが
(詳しくは下でご紹介)、その様々な、舞踊やインドネシアに関わる活動の中で、
インドネシア語の先生もなさってます。
とてもユニークな方でもあり、少人数のクラスはいつも笑いにも包まれ、
なごやかに進められていました。
先生の奥様、ジャワ出身のイウィンさん、ジャワ舞踊の女性舞踊家でいらっしゃるのですが、
このイウィンさんもいつも教室に同席され、インドネシア語ももちろんですが
現代のインドネシアについてなど、いろんな事を教えて下さいました。
そんな教室に通っていたある日のことです。
いつも先生は授業の始まりとともに、「えー、昨日こんなことがあったんですが……」
などというようにインドネシア語でいろいろお話をされます。
そのあと「みなさんはどうですか?」とか「どう思われますか?」とかいろいろ質問され、
みんながインドネシア語で話しをしていくのですが、
そんなある時、私はインドネシア料理を食べた時のことについて話していたのだと思います。
そして話し終わりますと先生が
「ん? ちょっと待って下さい、「makan(マカン=食べる)」を使ってなにか文章を作ってみてください」
とおっしゃったのです。
(え~、なにか間違ったのかしら……)
「Saya makan ……nasi (私はご飯をたべます)」
「由華さん(←私のことです)、「makan」が「makam」になってますね~
「makam」はお墓……墓地のことですよ」
Saya makam nasi . 訳すなら「私はご飯の墓場です」……あはは……意味不明
そういえば、同じ「ン」でも私は「n」と「ng」が全然わからなかったなぁ~、と
過去のことまで思い出してしまいました。
この「makan」もカタカナで書けばとっても簡単、「マカン」です。
しかも日常的によく使う単語。
なのに「makam」となって「墓場」と言っていたなんて……あぁ、赤面
これはどういうことかと申しますと、私はこの時「makan」と言ってるつもりなのに
口を閉じてしまってたんですね、まぁ、これは弁解でしかないのですが……
普通に会話している時はちゃんと「makan」なのですが、
ちょっと「Saya makan ……」と止まると、口を閉じて「ンー」と伸ばしてしまっている、
それが「墓場」になっちゃってました
インドネシア語を初めて習ってから20年、初めて指摘された「makan」の発音……
動揺し、「えぇ~~、先生~、「makan」の正しい発音教えてくださいぃ~~」
(「makan」の発音チェックをしたい方、必見ですよん)
「それではいきましょう、パンダ、パンダ、パンダ、パンダ、と続けて言います」
「パンダ、パンダ、パンダ……」 全員で「パンダ、パンダ」の大合唱
「じゃあ今度は「パン」の「ン」のところで止めてみましょう、3回目で止めてみましょうか」
「パンダ、パンダ、パン」
「はい、そう、その「ン」が「makan」の「ン」です」
なるほどぉぉぉ~~。確かにインドネシア人の発音する「makan」はこれだぁ~。
日本語で「マカン」と書くと多くの人が「makang」と発音し、
実際の「makan」の「ン」より口の中が開いた「ン」、舌が上あごから離れた状態の「ン」に
なってしまいます(makanの「ン」は舌が歯と上あごについた状態です)。
なぁ~んて、なに熱く語ってるんでしょうねぇ~
いや、我ながらおかしいですが、なんか興味の範疇といいますかですね~、おもしろいんですよね~
(え~、おもしろくないですかぁ~)
本当はインドネシア語はこんなことに時間を割くなら、
10コの新しい単語を覚えたほうが絶対いいんですけどね~。
あぁ~、手の隙間からサラサラと砂がこぼれるがごとく単語さえも忘れていく私……
単語帳でも作って電車の中で眺めようかしら(眺めるだけ……?)。
佐久間先生のご活躍を拝見するたびに、またインドネシア語を……と、思う今日この頃でございます。
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【佐久間新 先生】
1990年代にインドネシア国立芸術大学の伝統舞踊科に留学なさっており
今なお残るジョグジャカルタの王宮の嘱託舞踊家としても活躍され、
王宮内での公演にも数多く出演されています。
現在もインドネシア人の、同じくジャワを代表する女性舞踏家の奥様、ウィヤンタリサンと共に
大阪府内でジャワ舞踏教室を開かれたり、
先生が所属されるガムラングループ「マルガサリ」で全国公演、インドネシア公演ををされたり、
オリジナルのコンテンポラリーダンスの公演をなされたりと、さまざまな分野でご活躍中です。
佐久間新先生と奥様の佐久間ウィヤンタリさんの「Lintang Sisik」というユニットの
公式サイトはこちらから。ジャワ舞踊をはじめ、いろいろな活動をされています。
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